2015年9月4日金曜日

翻訳結果だけを見れば面白い。 『翻訳問答』

翻訳結果だけを読めば面白いです。

片岡義男さんと鴻巣友季子さんという二人の翻訳家が、同じ英語作品を翻訳し、その翻訳成果を持ち寄って、成果の違いだけでなく、翻訳の妙味と奥深さを語り合う作品。 

英語部分を読まなくても面白いです。英文作品や翻訳小説の好きな方は、より面白いでしょう(私はあまり読まないのですが)。 
一定のレベルを超えると、これほどまでに色が違ってくるのか、と翻訳の奥深さを知ることのできる一冊です。 

翻訳結果を読んでいると、一方の方は「いろいろ創意工夫してみてこの結果にたどり着きました。」、他方の方は「私は英語を皮膚感覚で会得してます、なのでその皮膚感覚をお伝えすることができれば。」という傾向が、私には見て取れたのですが、あとがきを読むと、そう感じる理由がよくわかりました。

なお、他方の方の翻訳結果に、なんでそこまで飛躍できるのかわからないものがチラホラあります。